EAL在籍中にこそ始めたい「アカデミック英語」の準備 ~ オランダのインター校で「問題なし」と言われるのに成績が伸びない理由

「先生はいつも『問題ない』と言ってくれる。EALのサポートも手厚い。なのに、どうして成績は上がらないんだろう」
オランダの政府助成インターナショナルスクール(DIS)に通うお子様を持つ保護者の方から、そんな切実な声をよく耳にします。お子様は毎日楽しそうに学校に通い、友達とも英語で笑い合っている。面談に行けば、先生は優しく「Doing Fine」と言ってくれる。それなのに、通知表の成績を見ると、なんだかモヤモヤしてしまう。
実はこの「先生の言葉」と「成績」のズレこそが、オランダのインター校で多くのご家庭が直面する、最初の落とし穴です。
この記事では、その違和感の正体と、EALに在籍している「今」だからこそ始めていただきたい具体的な準備についてお伝えします。
特に、次のような思いをお持ちのご家庭にこそ、知っていただきたい内容です。
- オランダのインター校でEALのサポートを受けているのに、先生からは「問題ない(Doing Fine)」と言われるばかりで、成績が伸び悩んでいる
- Year 5以降でEALをスタートし、「まずは日常会話ができてから」と思っているうちに、セカンダリーやIBの準備が間に合うか不安になってきた
- 学校任せ・家庭任せでは、エッセイやレポートで求められる「考える英語力」を伸ばすのに限界を感じている
1. 「Doing Fine」と言われるのに、成績が伸びない理由
「Doing Fine」は「学力が十分」という意味ではない
オランダの教育は、お子様の幸福度(Well-being)をとても大切にします。先生が口にする「Doing Fine」は、多くの場合「学校生活に楽しく適応できていますよ」という意味です。「学術的に十分な力がついている」という評価とは、まったく別のものなのです。
オランダの先生方は、お子様の良いところを見つけて伸ばすのがとても上手です。その反面、課題を直接的に指摘することを文化的に避ける傾向もあります。そのため、「先生も問題ないと言っているから大丈夫」と安心してしまいがちです。
EALで学ぶのは「日常会話の英語」まで
EALは、授業に参加するための「日常会話の英語(BICS)」を身につけるための、心強いサポートです。友達と話す、先生の指示を聞く。こうした学校生活に必要な英語は、EALでしっかりカバーされます。
しかし、IBやIGCSEで実際に評価されるのは、もう一歩踏み込んだ「学習言語(CALP)」です。
たとえば歴史の授業で「この出来事が与えた影響を論じなさい」と問われたとき、日常会話の語彙だけでレポートを書くのは難しい。抽象的な概念を扱い、論理的に構成し、根拠を示す力。これが「アカデミックな英語力」です。
そしてこの力は、残念ながらEALの授業だけでは十分に身につきません。
※日常会話とアカデミック英語の根本的な違いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

2. オランダDIS特有の事情:「卒業をせかさない」からこそ、課題に気づきにくい
オランダのDISでは、EALの卒業をあまり積極的にはせかさない傾向があります。明確な卒業試験やロードマップがないまま、お子様はEALに長期間在籍することになります。
一見すると「手厚いサポート」です。しかし実際には、「EALにいるから安心」という錯覚を生みやすい側面もあります。
「まだEALにいるから、そのうち英語も追いつくだろう」
「先生も問題ないと言っているし、焦る必要はない」
こうした思い込みが、アカデミックな英語力不足という根本的な課題を見えにくくしているのです。EALで学ぶのは日常会話が中心。アカデミックな英語力は別途育てなければなりません。それなのに、EALに長くいることで「英語のサポートは十分」と錯覚し、必要性に気づかないまま月日だけが過ぎていく。
これが、オランダDISで最も多い「手遅れ」のパターンです。
親が動けば、学校は応えてくれる
オランダの教育文化は、保護者を「共に教育を作るパートナー」と見なします。親が黙っていれば「問題なし」と判断されますが、具体的に動けば学校は柔軟に応えてくれるのです。
たとえば面談で「このエッセイ課題では文章構成の評価が低かったのですが、学校で追加のサポートを受けられないでしょうか」と伝えれば、EAL担当の先生が個別に対応してくれるケースもあります。オランダの学校は「言わなければ何もしてくれないが、言えばしっかり応えてくれる」のです。
学校ができることには限界がある
ただし、学校が応えてくれるのは、あくまで「授業に参加するための支援」までです。EALの延長も、教科担任からのフィードバックも、目的は「目の前の授業を乗り切ること」にあります。
IBで評価される「アカデミックな英語力」、つまり論理的に考え構造化して書く力を、EALの枠組みの中で体系的に育てることは、学校のリソースでは限界があります。
親御さんがどれだけ上手に学校と交渉しても、アカデミックな英語力不足という根本課題は学校の中だけでは解決しにくいのです。
3. EAL卒業を待っていいケース、待ってはいけないケース
ここで一つの判断軸をお伝えします。それは、お子様がEALを始めた年齢です。
低学年(Year 1〜4)でスタートした場合
アカデミックな英語力の準備に、あまり焦る必要はありません。まずはEALで日常会話の英語の土台をしっかり固めるのが先決です。
EAL卒業後、セカンダリーに進学する前(Year 6〜7頃)からアカデミックな英語力の強化を始めれば十分に間に合います。この時期なら、ご家庭での読書習慣の工夫など、親御さんの関わりでもある程度の準備が可能です。
ただし、より効率的に伸ばしたいとお考えでしたら、専門家のサポートを検討されるのも賢い選択です。ご家庭だけで試行錯誤するより、ずっと早く確実に力をつけることができます。
高学年(Year 5以上)でスタートした場合
EALの卒業を待っている時間は、残念ながらありません。
日常会話の英語の習得に1〜2年、アカデミックな英語力の習得には5〜7年かかると言われています。セカンダリーやIBDPは待ってくれません。
EALと並行して、今すぐにでもアカデミックな英語力の準備を始める必要があります。
この段階で求められるアカデミックな英語力は、ご家庭だけで対応できるレベルではありません。評価基準(ルーブリック)を読み解き、教科ごとに求められる力を体系的に指導するには、専門的な知識と経験が不可欠です。
特にYear 6以上でスタートしたご家庭は注意が必要です。
「まずは日常会話ができるようになってから」と考えているうちに、気づけばIBDP目前。アカデミックな英語力の土台がないままでは、科目選択の段階で「英語負荷の少ない科目」を選ばざるを得なくなり、いわゆる「言語回避」に陥るリスクが極めて高くなります。
※言語回避の詳細については、こちらの記事で詳しく解説しています。

4. 高学年EALスタートの現実:家庭だけではアカデミックな英語力は育てられません
率直にお伝えします。Year 5以上でEALをスタートした場合、アカデミックな英語力の育成を家庭だけで担うのは、ほぼ不可能に近いというのが現実です。
理由は三つあります。
- ① 時間がない
日常会話の英語に1〜2年、アカデミックな英語力に5〜7年。この二つを同時並行で進めなければ、IBDPの準備にまったく間に合いません。ご家庭で試行錯誤している時間的な余裕は、ほとんどありません。 - ② 専門知識が必要
IBやIGCSEの評価基準を理解し、「この教科ではどんな力が求められているか」を分析する力は、一般的な英語教育の知識ではカバーしきれない、とても専門的な領域です。 - ③ 親子関係の負担
限られた時間の中で親が「先生役」を担うと、感情的な衝突が起きやすくなります。「なぜできないの」という焦りが、お子様の自己肯定感を傷つけ、学習意欲そのものを奪ってしまうリスクもあります。
だからこそ、「家庭で頑張る」以外の選択肢を、真剣にご検討いただくタイミングに来ているのではないでしょうか。

5. 専門家という選択肢:EALと並行してアカデミックな英語力を育てる
「高学年でEALをスタートしたら、家庭だけでは手に負えない」。そう感じられた方も多いかもしれません。実際、その通りだと思います。
では、どうすればいいのか。
答えはシンプルです。EALによる日常会話のサポートを受けながら、それと並行してアカデミックな英語力を育てる専門的な指導を、学校の外で受けること。これが、高学年スタートのご家庭にとって唯一の現実的な選択肢だと、私たちは考えています。
低学年でスタートし、すでにEALを卒業されたお子様についても、アカデミックな英語力をより効率的に伸ばしたいなら、専門家の力を借りることが近道です。ご家庭で試行錯誤するよりも、お子様の負担も少なく、結果も早く出ることが多いのです。
ISSJのEAL/ESL/ESOL対策プログラムは、まさにこのために設計されています。一般的なEALサポートや英会話塾と決定的に異なるのは、「EALに在籍している今」だからこそ必要なアカデミックな英語力の土台を、学校の課題を通じて戦略的に育てる点です。
- EALの日常会話習得を妨げません。
学校のサポートと競合するのではなく、補完してアカデミックな英語力へとつなげます。 - 学校の課題をそのまま教材にします。
実際に出されたエッセイやプロジェクトを通じて、「主張・根拠・構成」の思考プロセスを体得させます。 - 評価基準(ルーブリック)から逆算して指導します。
オランダ各校(AICS、ISH、ISAなど)の評価傾向を熟知した現役インター教師が、採点者視点で「何をどう書けば評価が上がるか」を具体的に教えます。 - 成長レポートで「現在地」を可視化します。
学校面談で活用できる客観的なデータを提供し、親御さんの交渉力を高めます。
つまり、ISSJのプログラムは「EALの延長線上にあるアカデミックな英語力不足」という、オランダDISで最も多い「手遅れ」を防ぐための専門サービスです。
まずは、お子様の「現在地」を知ることから始めませんか?
ISSJの無料相談では、現役インター教師がお子様と直接面談し、英語力をその場で判断します。そのうえで、必要な準備をいつ、どのように始めるべきかを具体的にご提案します。
低学年でスタートしたご家庭は、まずはご家庭でできることから始め、必要に応じて専門家の力を借りれば良いでしょう。高学年でスタートしたご家庭には、残念ながら猶予がありません。「そのうちなんとかなる」では、なんとかならないのが現実です。
EAL在籍中の今、アカデミックな英語力を並行して育てるための専門的なサポートを、早急にご検討いただくことをおすすめします。




